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気づくと俺は上司に電話をかけていた。
「はい。もう終わったのか?」
上司の声に耳元がザワッとなった。まるで無数の害虫が耳の中に入ってきたかのように。
「終わってません」
「何言ってんだお前。こんな夜にくだらねぇ電話かけてくんじゃねぇよ! 睡眠妨害する気か?」
もうすぐ日をまたぐ時間。日勤の人は寝てても不思議ではない。
しかし俺はそれが許せなかった。今の自分自身の不満を全てぶちまけた。
「人に仕事押し付けて寝てんじゃねぇよ!! たかだか田舎の支店長ごときがそんなに偉いのかよ!! 雲の上の存在かてめぇ!!」
「何だぁ? その言葉づかい上司にすることじゃねぇよな? お前の席なくすぞ!」
「上等だよくそったれ。こっちは最初からそのつもりで電話したんだよ! せいぜい万年支店長でもやってろ!」
そう言って電話を切り、上司の番号とその他仕事関連の連中を全て着信拒否した。
ふとさっきまで作成していた書類が目に入った。
「……」
シュレッダーかけてやる。俺は今できるうる最大の復讐を決行した。
100枚以上の書類を全てシュレッダーに流した。枚数が減っていくにつれ気分が晴れていた。
「任務完了っと。明日の午後までに書類作れよ」
俺はシュレッダーに対して上司への怒りを乗せた。
シュレッダーには関係のないことなのに申し訳ない。直後にそう思った。
「さぁて帰るか」
俺はさっきまでの気持ちとは打って変わって、清々しい気分になった。今から夜が本番だというのに、まるで俺だけ真っ青の快晴の下に立っているようだった。
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