第2話 嵐、来(きた)る

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人は見かけだけで判断しちゃいけない。 けど、だからといって怖い顔した人で実は優しいと簡単に信じてもいけない! 「あンの鬼畜社長めえぇぇぇ……」 家の近所の自転車屋に、なんとか頼みこんでパンクだけ直してもらった。 だけどタイヤ自体がボロボロで、交換を勧められたがそんな金も無く、今日も俺はガチャガチャとペダルを漕ぐ。 「よりによって坂道多い通りの家ばっかりだし…絶対わざとだろッ!」 籠と後ろには今日の分の“忘れ物”が縛ってある。 まだまだ終わりそうもない量だ。 「ヴッ……このビジネスバッグ重い…」 電車の網棚に置き忘れにされていた、サラリーマンがよく使う鞄。 一見なんの変哲もない物だが、中にはおそらく持ち主が娘と撮ったであろう写真が入っていて、うちの社長はその娘の嫁いだ先の住所を特定したらしい。 …ホント、どうやって調べているんだろう。 「っだあーーッ!またチェーン外れたあ!!」
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