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「なぁ恭介~、早く恭介が作るご飯が食べたいよ~」
そう言うと、まだ少しだけ痺れが残る身体をゆっくりと動かしている陽人さん。
「そのためには、リハビリ頑張らなきゃな?
このまま進めていけば、もしかしたら痺れ取れるかもしれないって言っていたし。」
「俺、頑張ってるんだけどな~…。」
そういって口をとがらせる陽人さんの腕を私は揉んだ。
「おっ、夢ちゃんありがとう!
…前より感覚が戻ってきたみたいだ。」
陽人さんはそういって嬉しそうに笑った。
「おい、夢!
俺も頼む!」
そう言うのは誠一さんだ。
誠一さんは転落したため、数カ所骨折したが、リハビリと驚異の回復力で、先生も驚かせた。
「じゃあ…、痛くないようにさするだけ…」
「なんだよ、押しても良いんだぞ?」
「いや、遠慮しときます…」
そう言うと、不意に誠一さんがこちらをじっと見つめた。
「夢…、ありがとな」
そうつぶやく誠一さんの声に、私は心が温かくなった。
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