決意

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「で?本命チョコ、誰かにあげるの?」 空気を読まない北山が話の続きを促して、結乃は答えに窮してしまう。営業一課の営業マンたちも無言だけれども、面白そうな話題に聞き耳を立てている。 「あげる人いないんだったら、俺にちょうだいよ」 「……えっ!?」 とんでもないことを言い出した北山に、結乃が目を剥く。と同時に、エレベーターが営業一課のあるフロアに到着する。ここで降りていく営業マンたち。その中にいた敏生が、エレベーターの扉が閉まる間際に振り返った。驚いたような目を見てしまったその瞬間、また結乃の心臓が跳び上がった。 ――……せ、芹沢くん!誤解しないで!! 心の中でそれを叫んでみたけれども、念力でもなければそれは敏生には伝わらない。 そう、心の中でどれだけ想っていても、想うだけでは永遠に相手には伝わらない。それは、嫌というほど結乃にも分かっていた。 「……本命チョコは、あげる人いるから」 再びエレベーターで北山と二人きりになって、結乃は覚悟を決めるように断言した。
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