虚勢乙!

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ふんふんと愛華の家で朝飯の調理中、珍しく愛華のご両親が帰って来た。 「む?ルシ君じゃないか、何をしているんだい?」 「あ、おじさんおばさんおはようございます、朝ごはんの調理中ですよ、良かったら愛華と一緒に食べますか?そろそろ起きてくると思いますので」 ちなみに俺の朝食はもう既に自宅で済ませて来ている。 「いつも娘がごめんね、ルシ君だって忙しいでしょうに・・・」 「気にしないで下さい、あいつのお小遣いから食費を出してもらってますし。」 フレンチトーストとホットミルクをテーブルに置いて、おじさんとおばさんには目玉焼きトーストで勘弁してもらおう。 コーヒーを落としてトースターにパンを二枚入れる。 「さて、ご両親が居る時くらい年頃の娘の部屋には入らない方が良いと思いますし」 「私が起こしてくるわね」 おばさんが部屋を出て行くのを見送って俺はエプロンを外す。 「今日はどうしたんですか?」 「いや、ここのところ帰ってなかったからね、他意は無いよ」 うちの親もこれくらい家に帰って来て欲しい物だ。 二階から「お母さん!?」と言う叫び声が聞こえてきた。 「娘はいつもあんな感じかい?」 「ええまぁ、元気なのは良いと思いますよ?」 「ははは、そう言ってくれるなら安心して任せられるね」 「思春期の男に年頃の娘を任せるのは危ないと思いますけど?」 「ルシ君ならいいさ、愛華だって君なら悪い気はしないだろうし」 顔を合わせるたびにと言うと四六時中になってしまうが、会う度に生傷が絶えない関係なのだが・・・。 「君だって、愛華の事は憎からず思っているだろう?」 「そうですね、これだけ長い事一緒にいると、愛華が隣に居ないと言うことに違和感を覚えますね」 「おわぁあああ!!!遅刻する!!」 「しねぇよ、どうせ学校まで転移魔法で1秒半だ、ゆっくり食え」 リビングに駆け込んで来た愛華を落ち着かせて、エプロンを棚に置く。 「俺は一旦帰って学校の準備してくるから、おじさん、おばさん、お邪魔しました」 「お邪魔だなんてそんな事ないわ、何だったらここに住まない?」 「遠慮しておきます、魔王が勇者一族に囲まれてたら、落ち着けませんので」 「ははは、そりゃ残念だ、また来ておくれ」 「はい、それじゃお邪魔しました」 俺は礼儀良くお辞儀をして、愛華の家を後にした。
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