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「冒険家とは流れゆく雲の如き自由なる存在!仮に一国の王とは言え、頭ごなしに命ぜられる謂れはございませぬ!!」
などと胸を張って言い放ってやりたかったが、間違いなくその時点で首と胴が永遠の別れを告げる事になる。
しかも一応俺の出身地は片田舎とはいえアストリア王国領土内に位置しているため、自国の王からの依頼(くどいようだが命令と言って差し支えない)を無下に扱うわけにもいかない。
結局王様からの直々の命を受けざるを得なかったのだが、正直俺はこの件に関してそれほど乗り気ではなかった。
というのも、国民から《英雄》ともてはやされてはいるが、同時に他国への野心を隠そうともしないあの王様が、俺はどうにも好きになれなかったのだ。
50代半ばとは思えない覇気を身に纏った堂々たる体躯は、なるほど獅子と呼ばれるに相応しいものだとは思うが、にこりともせずに玉座から俺を見下ろす眼光からは親愛の情などは欠片も感じられず、
「頼んだぞ」
という有難いはずのお言葉も
「それが人に物を頼む態度か、この○○○野郎(自主規制)が!!」
と心の中で毒づきたくなる程尊大なものだった。
かといって今更、勅命レベルの依頼を断る訳にもいかないし、諸経費という名目で既に、中々な額の頭金を押し付け同然で受け取らされてしまっている。結局
「とりあえず、貰った金の分は働くしかないか」
という軽い気持ちで冒険の旅へと赴いたのだが・・
その旅の途中で偶然見つけてしまったのだ。
とあるダンジョンの最深部。
しかもそこに位置する隠し扉の更に奥に隠されたーー
一通の古文書を。
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