4人が本棚に入れています
本棚に追加
「はっぴーバレンタイン!」
そう言って嫁はポケットに忍ばせておいた包みを左右の掌に乗せ、旦那に突き出した。
「………何これ?手作りじゃないんやな?」
寝起きの為か、はたまた嫁の行動が理解できなかったのか、暫く無言で左右の掌に置かれた包みと嫁を見比べ、漸く口を開く。
「うるせーな、ちゃんと昨日、生チョコ作ったったやろ!んで、どっちがいる?」
─── 嫁は口は悪いがニコニコ笑顔で答える。
「左にあるのは 、ホワイトチョコトリュフに見立てた只の──── 牛脂。」
「牛脂!?」
「右にあるのは、只の五円チョコ」
「……… ほんまや、五円チョコや。……え?ってか、牛脂って何?なんで?」
「牛脂知らんのか?読んで字の如く、牛の脂やん」
「いや、それくらい知ってるわ!……何で牛脂?」
何やらとっても驚いた様子の旦那……だが。
「……… とりあえず俺、リハビリの時間やから五円チョコだけもらっとくわ」
「うむ!ならば、ワテは子供らお菓子食べながら待ってるから一回車に戻るわ」
旦那の反応が思ったほどなくてツマラン!
………と思った嫁はそそくさと部屋を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!