欲しいのはチョコ?それとも……

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「はっぴーバレンタイン!」 そう言って嫁はポケットに忍ばせておいた包みを左右の掌に乗せ、旦那に突き出した。 「………何これ?手作りじゃないんやな?」 寝起きの為か、はたまた嫁の行動が理解できなかったのか、暫く無言で左右の掌に置かれた包みと嫁を見比べ、漸く口を開く。 「うるせーな、ちゃんと昨日、生チョコ作ったったやろ!んで、どっちがいる?」 ─── 嫁は口は悪いがニコニコ笑顔で答える。 「左にあるのは 、ホワイトチョコトリュフに見立てた只の──── 牛脂。」 「牛脂!?」 「右にあるのは、只の五円チョコ」 「……… ほんまや、五円チョコや。……え?ってか、牛脂って何?なんで?」 「牛脂知らんのか?読んで字の如く、牛の脂やん」 「いや、それくらい知ってるわ!……何で牛脂?」 何やらとっても驚いた様子の旦那……だが。 「……… とりあえず俺、リハビリの時間やから五円チョコだけもらっとくわ」 「うむ!ならば、ワテは子供らお菓子食べながら待ってるから一回車に戻るわ」 旦那の反応が思ったほどなくてツマラン! ………と思った嫁はそそくさと部屋を後にした。
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