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仕事が終わると、野路章悟は駆け込むように寮の部屋へ戻る。
部屋のカギを閉めてタブレットの電源を入れる。
そしてスカイプが起動し始めると同時に、たった独り登録された人に呼びかけるのだ。
数コール後、すぐに彼女と繋がった。
「優子さん? 俺な、今仕事が終わって――」
タブレットの画面いっぱいに大好きな彼女の顔が映ると、それだけで嬉しくなる。
目尻に少し皺を寄せ、優しく微笑みかけてくれるから。
いつもどこか寂しげな、ほの白く美しい笑顔で。
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