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僕が知っているのは、彼女の名前と学校だけ。
思い立ったが吉日。
すぐに彼女の学校へと行き、中学生の時の同級生を見つけ出し、とにかく情報を集めた。
そこで分かったことは、彼女の心臓の病気は相当悪いということ。
体育の授業すら受けられないほどに。
だから心臓移植を受けるため、日本臓器移植ネットワークに数年前から登録していたのだが、中々ドナーが現れず、このままでは二十歳まで生きられないといった状況だったのだが、主治医の紹介によって、海外でドナーが見つかり、ワシントンへと行く事になったのだそう。
今回は、その事前検査のための入院だったというわけだ。
「検査入院には間違いないもんな。これじゃ文句も言えない」
はらはらと舞う花弁を一つ掴み、苦笑いをする僕のもう片方の手には小さな紙切れがある。
そこには、知り合いを通じて知り合った、雅の親友と言われている子から貰った、彼女の連絡先が書かれてあった。
手術がいつなのか。
成功したのか。
術後はすぐに元気になるのか。
色んなことを考え出すと、電話どころかメールすら送る事に躊躇する。
けれど、彼女の親友が言っていた。
「成功率の低い手術だけれど、雅は、あなたのお陰で勇気を貰ったって言ってましたよ。『生きたい』と思う気持ちがあれば、環境が変わったって、何があったって大丈夫だって……」
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