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彼女の名は三倉 雅(さくら みやび)。
僕と同じ年の十七歳。
生まれた時から心臓が強い方ではなかったらしく、毎日のように変動する気温差によって体調不良になったところで、発作が起きたのだそうだ。
今は安定しているものの、とりあえず検査入院ということで、この病院に一週間程いることになったらしい。
怪我をしているわけでもなければ、熱でうなされている状態でもない。
自分のことは自分で何でも出来てしまうし、ここには看護師さんが24時間体制でいる。
家族の付き添いが必要な状態でもないので、母親も一旦、帰宅してしまい、暇を持て余していた彼女にとって、僕はある意味救世主だと笑っていた。
「じゃあ、来週には退院なんだ?」
僕の問いに彼女は「うん。この病院とはおさらばなんだ」と答えた。
退院できることが嬉しくはないのだろうか?
その声が少し弱々しく感じた俺は、不思議に思いながらも、次の瞬間には「見て見て! これ。友達と撮ったプリクラなんだけどさぁ~」と言って、女の子が三人、変顔をして写っているプリクラを見せてはしゃぐ彼女を見たら、自分の気のせいだと思う事にした。
それから初対面とは思えない程、僕達は意気投合し、お互いの学校の事や、趣味の話なんかで盛り上がっていたのだが、ふいに話が途切れた。
気まずいわけではないけれど、何となく話題を探さなきゃ……と思った時、ふと、気になっていたことを思い出した。
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