チョコ嫌い

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昨年のバレンタイン。 一人のイケメン男子が発した言動は、あっという間に学校の全女子へと伝達された。 「ごめん。俺、チョコが大っ嫌いで…無理!」 ウッと口元を手で抑え、吐き気をもよおす様も超絶かっこよかったらしいが、告白もチョコも完全拒否。 その男、玲翔は高校生活1年目であり、彼のチョコ嫌いを知る者がいなかったのだ。 という訳で、この日のために、と頑張った甲斐も空しく、何人もの女子がチョコごと玉砕した。 その数、推定20。 完全拒否の噂を聞き、臆して彼のもとへ行かなかった女子もいたそうで、陰で涙した女子は更に多かったとのこと。 そんな中、彼に受け取ってもらえた女子が一人。 但し、チョコではない。 「玲翔、はい!」 「やった!」 ポンと放り投げられた市松模様の渋い紺色の紙袋を見事キャッチし、喜ぶイケメン男子。 まるで、ボール投げ遊びをしている飼い主と犬のようであった。
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