3、あたしと彼とふわわ

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 そっか、だからそんなに混んでないんだな・・・少し周りを見渡してそう考えた。  ようやく、周囲や自分の置かれた状況を見る余裕が出てきたところだった。  何故か、あたしはよく知らない男子生徒とファミレスに来ている・・・。でもお腹空いてるし、とにかく冷えてるし、何か温かいものを食べよう。  そう思って、メニューを彼に返した。 「・・・ラーメン」  彼は少しだけ笑ったようだった。その笑顔の意味が判らないまま見ているとボタンを押して店の人を呼び、ラーメン二つと言ったから、あ、一緒だったんだ、と判った。  お待ち下さいと言われて二人にされると、どうしていいか判らなくて困った。  今のあたしはいつもの元気も勇気もない。  冷えていて、呆然とし、弱気で、大体びしょ濡れだった。だから自分から明るくハキハキと会話を進める余裕はなかった。  彼も黙っていた。  元々静かな人なのか、あたしと同じように事の成り行きに呆然としているのかもしれない。一緒に来ちゃったけど、これからどうしよう、なんて思ってるかも。  テーブルを挟んで前の椅子に座り、鼻をすすって、急に温められた指を両手で擦っている。  あたしはそれを自分の椅子からぼーっと見ていた。  喋ることもないまま、しばらくするとラーメンが運ばれてきた。  魚介の醤油ラーメンという名前のそれは、湯気を勢いよくあげていて見るからに熱そうだ。 「頂きます」  あたしが言うと、前で彼も小さく言っていた。そして二人でやっぱり無言で食べる。  久しぶりに食べたな、ラーメンなんて。チャーシュー、かなり美味しい・・・ちょっと~、幸せだわ、温かいラーメン!  表面は無言だったけど、心の中では忙しく喋り、あたしはラーメンをガツガツと食べる。  その内に指も体も全部温まり、お腹の底から熱を感じてつい笑顔になった。 「・・・おいし」  ふと顔を上げると、知らない相手はマジマジとあたしを見ていた。・・・うおっ!何だろう・・・ちょっと、一人じゃなかったんだよあたしったら!ヤバイ・・・ニタニタと怪しい女だったよね・・・。  喜んだ後で急激に凹んだ。だけどそれは顔に出さない努力をした。
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