1、飛んでいったふわわ

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 そんなこと言ったらあたしだって同じだ。  肩までのセミロング、極端に高くも低くもない身長、制服に学校指定のコート。特別綺麗とか可愛い顔をしているわけではないから、相手からしてみても他の女子生徒と違うのは拾ってくれたミトンの存在だけだろう。  唯一の繋がりのような気がして、あたしはそれからずっと同じミトンで過ごした。  日を過ごすごとにそれは少しずつ汚れていく。  更に寒くなって、全国のスキー場がオープンし、期末テストも終わって、テスト休みに突入した。  後は終業式で、その後は冬休み。  結局例の男子生徒が誰か、学年すらも判らず仕舞いで、あたしは拗ねたような状態で休みに突入する。  去年は一緒に冬休みを遊んで過ごした友達は二人とも高校に入ってから彼氏を作っており、ごめーん、と軽やかに両手を合わせてデートに出かけていったから、あたしは結構暇だった。  女友達なんて、薄情なものだ。暇なあたしはそう呟いて、家でミトンを丁寧に手洗いする。  来年には会えるかな。これに気付いて声をかけてくれないかな。・・・それか、もうミトンを目蔵滅法あちこちに飛ばしまくってみる?そしたらまた拾ってくれるかな? 「いやいや、落ち着けって、あたし」  ミトンを干しながら一人で突っ込んでいたら、通りすがりの弟に変な顔をされた。 「・・・何よ」 「いや、姉ちゃんて変だと思ってたけど、やっぱり変人だな。一人でブツブツと。怖いし、気持ち悪い」  このクソガキ。気持ち悪いだとう!?あたしはひょろっこい弟を睨みつけながら言った。 「・・・あんたとあたしは血が繋がってるのよ」 「僕の中でそれが一番信じられない事実なんだ」  ムカつく。大体弟なんて生意気ってだけの存在なのだ。くそう。あたしはおやつのポテトチップスを一人で食べることで、生意気な弟への復讐を果たす。  そんな、実にどうでもいい冬休みだった。  新しい年が来て、あたしは神社にも行かずにコタツでテレビを見る。外は寒いのだ。あのミトンでは隙間風が手を刺しまくって辛いに違いない。 「ひ~さ~!邪魔なのよ~!どいてどいて!」  正月から怪獣ママゴンは掃除機を振りかざしてあたしを襲う。・・・休みでしょ、ママも休んだらどうなのよ・・・と心の中で言った。現実に言えば勿論ガンガンに絞められる。
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