★遡ること2ヶ月前

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そのまま、ぼんやりしたまま魔術師団に戻ったらしい。 「おい、誰だお前……」 「もしかして、あの腕輪」 「団長!?」 「お、お疲れ様です!」 フラフラと執務室に入っていく。 ゴン、と柱にぶつかりながら。 「お、俺、団長の素顔初めて見たッス」 「あんな死んだ目をしてるんですね!団長って激務なんですね……」 「お前らまだ見たことなかったか。俺も久しぶりだな。しかしあの表情は……魔物に憑かれたような」 団員が業務の手を止めてヒソヒソと話している。 「一息入れようか」 セルジオがお茶と菓子を持ってくる。 魔術師は精神を酷使するので休憩を入れるのだ。 団長の執務室にも持っていく。 「団長、入りますよ……うわっ」 執務室入ってすぐのところにしゃがみこんでいる、 団長を蹴ってしまった 「なにやってんですかこんなところで」 「……セルジオか。」 「お茶どうぞ。どうしたんですか」 「何が」 「いや、こっちが聞いてるんです。フラフラ精神攻撃受けたみたいな顔で戻ってきて。侍女に受け取ってもらえなかったんですか?魔術師キモいとか勘違いすんなとか?」 「精神攻撃……たしかに、あれは……参った……なんだあの生き物……反則だ……いや不意討ち……後ろから強力な魅惑の術をかけられたような……はっ!そうか!俺は術をかけられたのか!?」 「知らんがな」 紅茶を入れながらセルジオは故郷の発音でつっこんでしまった。 「要するに団長もやっと色恋に目覚めて、侍女に一目惚れしたんですねハイハイ心配して損した」 「待ってくれセルジオ、お前だけが頼りだ。 むしろ逆に向こうが好意を告げてきたんだが一体どうしたら」 「え、なにそのオモシロ展開。詳しく」
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