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「どっかにいい娘いないかなー」
鍛練のあと、騎士団の連中は大概寄り道をする。食堂に行ったり風呂棟に行ったり。
体力に自信があるので侍女の仕事を手伝ったりもする。下心あってのことだ。
「最近、魔術師に差し入れしてる侍女がいるってさ」
「マジで?あんな根暗野郎に良い顔するってどうなのよ。女として終わってねえ?」
乾いた笑い声が響いた。
「……でもさ、あいつら基本給俺らより高いよな」
「俺ら、貴族はともかく怪我したらクビだし」
「魔術師って定年まで勤めてるな……」
「魔力あるってだけでエリートだからな……」
「女もさ、若いうちは見目で寄ってきても結婚相手となるとシビアなんだよな」
だんだんと小声になる。
騎士団は階級があって上司の愚痴を吐き出すために横の団結も強い。
「あー、早く可愛い嫁さんもらいたい」
「でもさ、この娘よりもうちょっといい娘が居るんじゃないかなー、って思うと」
「一人に決められないんだよな」
「わかる」
日頃の鬱憤も冗談も同列に口にする連中だ。
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