☆騎士団は面白くない

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リーゼは夕食後、カトリーヌに、呼び出された。 「チャンスよ、リーゼ」 「カトリーヌさん、このお料理は」 パンと豆のトマト煮、ハムとハーブが並んでいる。 「今日、魔術師団長が残業してるんだって。あんた、夜食届けてあげたら」 これまでリーゼは届けにいったことはなかった。 「ええっ、そんないきなり」 「大丈夫、顔見知りになった魔術師が団長の部屋までとおしてくれるから」 真っ赤になるリーゼは同性から見ても可愛らしい。 「魔術師団長、これでこの子に惚れないなんて人間としてどうかと思うわ」 そんなことを言われているとは知らず。 団長は執務室でだらけていた。 残業は終わった。 正確には、普段は数人で行っている作業を魔力の量で強引に進めたため、歪みが出ないか待機しているのであった。 しかも空腹だった。 空腹のあまり食堂に行こうという気力もないくらい、脳に糖分が足りなかった。 いつもなら、セルジオが何か食べ物を用意するか、無理やり休憩させている。 ノックの音がしたが、魔術で鍵をあけて扉を開いた。 机に突っ伏したまま、意識が遠退いた。 「団長、団長、……カイン様……」 紅茶の香りと優しい声。 目覚めると、恋しい人がいる。 「……夢か」 手を握ると赤くなる。すりすり。 更に赤くなる。頬に当てれば手を引っ込めようとする。 許さない。 すべすべすべすべ。 なんて良くできた夢だ 「あの、やめてくださいませ」 「あ、君は……」 「お夜食をお持ちしました、リーゼロッテと申します」 「リーゼ……食べて良いか」 ドアの向こうから数人の魔術師がなだれ込んできた。 「団長、それはまずいっす!」 「いやまずくないですけど、美味しそうですけど、美味しすぎやしませんか」 「たくさん持ってきましたので、皆さんもどうぞ」 リーゼが微笑みかけるとセルジオが扉を閉めた。 「ここで事件は困りますので、団員は残りで充分ですから」
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