☆大団円に一直線

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魔術師たちは、疲れはてていた。 「リーゼロッテ嬢を守る会(団長からも)」 というものが結成され、彼女の生活を守っていた。 団長の魔力が暴走する度に、後始末に追われる。 リーゼが笑えば花が咲き、 リーゼが鳴けば雷鳴が轟く。 「もう、本当に嫁になってくれないと俺たちが過労死するか国が滅びるか……」 「いっそ皆で土下座しますか?団長の正体ばらして……」 当の本人である団長は、顔を晒してリーゼと会っているのだ。 といっても挨拶程度だが。 憧れの団長は渋い大人の男だと思っているリーゼは、暇そうにフラフラ現れる青年カイを新人魔術師だと思っていた。 「あら、こんにちはカイさん。またサボってるんですか」 「結界の見回りをしているだけですよ。サボってるなんて人聞きの悪い」 「団長さんに怒られちゃいますよ」 「怒る男は嫌いですか?」 「そうですねえ……普段から怒りっぽい人は嫌ですけど。団長はお仕事ですから、厳しい態度も素敵だなって思います」 頬を染めて、リーゼが言うと、背中を向けて駆け出すカイが小さく見えた。 「ありがとうリーゼさん!」 「カイさん、転移したのかしら。走るの早いのね……なぜお礼を言うのかしら。はっ、そういう性癖の方がいるとカトリーヌさんが言ってたような……団長に叱られて喜んでるのかしら」 カイ=カインは、魔術師団に帰っても顔がにやけきっていた。 ああ可愛い 目の前で本人を誉めて赤くなるリーゼ可愛い 可愛い可愛い可愛い可愛い 「よし、これからも団員には厳しくいこう!」 「はい?何ですかいきなり!」 「で、進展してるような気になってるとこ悪いですけど、その悪趣味なプレイ、絶対に嫌われますからね!『やだ、そんな人だとオモワナカッター、サイテー!』ってバッサリですからね、バッサリ。 傷の少ないうちに自分で正体ばらして……」 「セルジオさん、ダメです。団長が……」 「そうだよな……浮かれてた……はは」 城中の湿度が上がった 「大変です、カビとキノコが大量発生して……」 魔術師たちが叫んだ 「こんな生活、もう嫌だああああ!」 という訳で、リーゼ嬢を団長の嫁にするべく、次の舞踏会の日に決行することとなった。 翌日は城勤めの者も休みがもらえるのだ。 「どうか、その日にリーゼ嬢が団長の想いを受け止めてくれますように……!」 神頼みしかない。
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