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「じゃあさ、今晩集合ね!俺、部活終わるの6時だから6時半ころかな」
「俺は今日塾ないから大丈夫」
奏人は美術部。美術の分野のなかでも奏人はCGを駆使した作品を得意としている。
父親の会社の手伝いで収入を得ることがあるという。伸は結構なプロレベルだと感心している。
集合場所は伸の家。これは言わずもがな。
1年生の頃の高〇生クイズ。事前特訓と称して集まったのをきっかけにしょっちゅう集まるようになった。
伸の家は母親との二人暮らし。父は伸が小さい頃に病気で亡くなっている。
母は総合病院に勤務している医師だ。
伸が小学生の頃までは早めに帰る勤務シフトにしてもからっていたのだが、伸が中学生になってからは帰りが遅くなり夜中になることも珍しくなくなった。医師不足なんだとか。
伸は家事なんかはすべてこなせるし、非行に走ることもなく手がかからない。地域一番の進学校の学年トップの常連。母に言わせたら「自慢の息子」というところだ。
伸は部活はやっていない。母の背中を見て育ったこともあり医学部を目指しているため週に4日は塾通い。
「恵実ちゃん、来れるかなぁ…」
奏人が少しそわそわした素振りでつぶやく。
「6時半なら大丈夫じゃない?」
奏人の口から何度か出てくる「恵実ちゃん」
生田恵実花は伸の近所に住む幼馴染。歩いて3分くらいといった所だ。
恵実の両親は二人で洋食屋をやっていて恵実も時々手伝っている。10歳の弟と4歳の妹の面倒を見るため部活はやっていない。
塾に通っている訳でもないのに伸に次いで学年2位の常連。伸は自分なんかより恵実の方が頭はいいんだろうと思っている。頭の良さを測る基準は学年順位として現れるか?ということは別の問題だろうが。
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