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ピンポーン
夕餉(ゆうげ)の準備が整ったとほぼ同時に玄関のチャイムが奏人の到着を告げる。
本当にタイミングのいい奴だ。
「よっ!」
そういってコンビニの袋をかざす。チョコパイやらオレンジジュースやら。夕食の準備はしておくと伝えておいたから一応気を使っていることがうかがえる。
「かなちゃん、いらっしゃ~い」
満面の笑みで奏人を迎える彩花。彩花は誰にも愛想がいいが、奏人の脚には抱き着いていかない。伸だけだ。
「いらっしゃい、奏人君。ごはん準備出来てるから。手を洗ってきてね」
「うん、ありがとう」
恵実の言葉に奏人の顔が赤く染まる。幸せの瞬間だろう。
………
夕食後、恵一郎は彩花を誘ってテレビゲームを始めた。
音楽に合わせて身体を動かすタイプのゲームだ。伸の家には二人が遊びに来た時に楽しめるようなゲームが何本か用意されている。伸は中学の頃からほとんどゲームはやらなくなっていたけれど。
リビングのテーブルを囲んで、伸、恵実花、奏人がそれぞれのスマホを取り出した。
奏人の導きで【インテリジェンス オブ ガバナー】のサイトを開く。
告知の内容を一通り読み合わせる。
続いてプレイヤー登録だ。
まずはメールアドレスとパスワードを登録して送信。
間髪入れずにメールが届くので、URLからログイン。
「ようこそ!インテリジェンス オブ ガバナーの戦場・神の島スクエア・アイランドへ」
ファンファーレのような音楽が流れる。
冒険の始まりの機運が盛り上がってくる。
空からほぼ四角形の島を見下ろす鳥瞰図(ちょうかんず)。
鳥が舞い降りるような視点の動き。
大きな山や湖、森林、沼地、砂漠…そういった地形が近づき、さらに脇へと去っていく。
地上すれすれまで画面がズームアップしていくと草原に立つ一人の人間のシルエットにたどり着いた。
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