初陣

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暗がりに一人の男がいた。 「貴殿が六角義治殿であるか。」 と言うとレイピアを抜き、賢盛を刺したのである。 驚きの表情を見せる賢盛 「な、何故だ…」 冷酷な表情を見せる輝信。 「己の出世の為に主を裏切る者など、当家が使うと思っていたか。 父上にあわす等ありえん。」 輝信を掴もうと足掻く賢盛であったが幸隆が止めを刺した。 「若、如何なされましたか。」 「ああ、大事無い。 さて、義治殿これより我が臣として命をながえる気は御座らぬか。」 「フッ、家臣に裏切られた惨めな敗将の儂を… お気は確かか?」 「これ、言葉を慎まんか。」 と怒号に近い声を浴びせる幸隆。 「爺、止せ。 儂には父のように優秀な家臣がおらんのだ。 そこで貴殿をと思うてな。」 「そこまで腹の中を見せるか。 某の事を好きになされればよろしかろう。」
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