~桜の咲く頃に~

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 公衆電話から約束通りの時間に携帯が鳴り、ハルは待ち合わせ場所へ急いだ。 「美咲!」 「ハルさん」  夏服だったセーラー服が出会った日と同じ冬服へと戻っていた。濃紺に白いスカーフ、付けているバーバリーのマフラーは、ハルが買ってやったものだ。 「試験、どうだった」 「完璧だったと思います」 「スゲ……」  この奇妙な関係はうまく行っていた。なかなか会う事は出来ないが、必ず週一回は公衆電話からハルへ電話がかかってくる。テレフォンカードの残りの通話金額が僅かになると、泣いてしまう美咲がハルは愛おしくてたまらなかった。 「美咲、今日安全日だよな」 「今日、本当にダメな……」 「ホテル行こう」  七月に起こったアジア通貨危機。来年の株主総会で叩く企業の目星がつけられ、エリートと呼ばれるキレ者揃いのグループにハルとムラサキは揃って徴収された。異例の出世コースへの抜擢だったが、美咲と会える時間も目に見えて減っていた。  フロントで金を払い、美咲の肩を抱いてエレベーターに乗った。 「ハルさん。今日、どうしたの?」 「なんでもない」  ムラサキのあの行動にも、気が立っていた。美咲を抱くようになってからムラサキには指一本触れないようにしていたのに、首筋に噛み付かれた。エレベーターの鏡を見るとそこには、くっきりと歯型が残っている。  成瀬とうまく渡り合っている美咲にも、最近、少しだけ苛立ちを覚え始めていた。 「ハルさん……」  部屋へ連れ込み、強引なキスを繰り返す。美咲の前にしゃがみ込みスカートの中へと頭を潜らせ、最初よりも明らかに派手になった下着の上から下品に音を立てて吸ってやった。 「もう濡れてるのか?」 「だって……」 「美咲は好き者だよな」  うぶな美咲の顔を見ていると、つい言葉遣いが荒くなってしまう。顔を真っ赤にして首を横へ振る美咲とはもう何度も体を重ね、最初は痛がって泣いていたが最近では自ら腰を振り、我慢できなくなってハルの性器にむしゃぶりつく事もあった。ただ、なんど抱いても股は緩くならず、変わらず初々しい桜色をしていた。  下着をずらし、ぷっくりと頭を出した尖を優しく擦ってやると溢れでた蜜で、いやらしい水音を立てている。
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