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「その通り」
翔の返事と共にジオライナーが右手を自らの右肩の前でぐっと握る。
どうやら右腕は十分に動くらしい。
「それはアタックチャンスの時の動きだろう……」
友矢も呆れながらツッコむ。
「あのねぇ、リハビリしようって発想はいいけど、もうすんごい音が響いてるの!耳栓してる人もいる上に、お陰で全然指示が聞こえないんだから!」
呆れるどころか怒りが加速しているのは陽だ。
他の整備士達の現状を伝えながら捲し立てるように怒声を飛ばし続けている。
「いやいや、遊んでるように見えて実はこれすごく難しいんだぞ。しかも、リハビリだけが目的じゃないんだな、これが」
と、翔がライナーで折っていた金属板を陽に見せる。
折り曲がった金属坂は何やら見覚えのある形をしていた。
もう小学生以来と言っても良いくらいに久しく見たその形に陽は答えた。
「まさか、手裏剣作ってたの…?」
そう、その折り方はまさしく折り紙の基本中の基本、手裏剣の片側だったのだ。
改めてライナーの足元を見ると同じ形の物が複数置いてある。
「その通り!」
今度は右手をぐっと握らずに、床からもう一枚の折った金属板を手に取り、それを組み合わせ始めた。
当然、金属の軋む音、歪む音が響く故に、その場にいた誰もが両手で耳を塞ぐ。
組み合わさった金属手裏剣を誇らしげに掲げるジオライナー。
端的に言えばアホそのものだった。
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