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「どうよ?飛び道具が足りないなぁと前から思ってたんだよ。これなら簡単に作れるし、威力も多分抜群なはず!」
投げる素振りをするが、まずまっすぐに飛びそうにないフォームは不安しか感じられない。
しかし、確かに当たればそれなりの威力があるのは確かだろう。
「この……」
堪忍袋の尾が切れる寸前の陽は爆発直前だ。
だが、それを遮るように館内放送が流れる。
「あー、あー、格納庫の皆さん、聞こえますでしょうか?」
穏やかながらどこか含みを感じる女性の声。
格納庫内の誰もがその声に手を止めた。
「聞こえてるみたいですね。今、誰かさんが騒音を起こしているようです。発生源の人に本部長から直々の通達です」
放送の主は防衛機関、ラインの本部長、森小路綾(モリコウジ アヤ)だった。
名字から分かるだろうが、友矢の姉である。
ちなみに、翔と言えどもこの人にはさっぱり敵わないので、今はぴたりと動きを止めてかきたくもない汗をだらだらと垂れ流している。
「リハビリしたいという事ですので、三日間宿舎内のトイレ掃除を命じます。きちんと綺麗にしつつリハビリに励んでください。以上」
と、それだけをとても楽しそうに言って放送は終わった。
流石の陽も切れそうだった堪忍袋が元通りのようで、微塵も動かなくなったジオライナーのコクピットに着けて、
「自業自得。ご愁傷様」
とだけ伝えて整備の仕事に戻った。
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