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「陽、少し良いか…?」
そんな陽を呼び止めたのは友矢だった。
「何ですか?」
立ち止まって振り返る陽。
「トライアについてなんだが、整備が難航しているというのは本当なのか……?」
トライアというのは、先程少しだけ説明した友矢の乗機である。
ジオライナーと同じく40mクラスの巨大ロボットで、翔が負傷して戦えない間に平和を守っていた機体だ。
だが、戦いながらの整備が万全に行える訳ではなく、トライアは初陣以降十分な整備を受けられていないでいた。
そして、翔が復帰出来るようになり、これを機にトライアの本格整備が行われているのだ。
だが、その整備は決して順調ではないらしい。
「……はい。どうにも各部を繋ぐ接続部がかなり消耗しているようで、分解はしないまでも何かしらの形で整備が出来るように整備のプランの見直しをやってるんです」
整備士である陽はその事情には詳しかった。
友矢もそれを聞いて苦い顔をする。
「僕が無茶ばかりするから……」
友矢には特殊な力が備わっており、単純な腕力、脚力を取っても常人とは違う。
そんな彼が操縦するジオトライアもかなりのじゃじゃ馬であるようだが、友矢はそれを手足のように扱っていた。
上記の二つに加え、友矢とて生温い戦場を潜ってきた訳ではなく、常に命懸けの戦いを何度もこなしてきたのだ。
機体にボロが出ていても何ら不思議ではない。
「そ、そうじゃないです!これはライナーの改修中にライナーで発覚したものなんです!トライアも同じような状態になってるんじゃないかって事で見てみたら、そうなってただけで!」
陽も友矢の無茶ではなく仕方のない事であると言いたいようだが、気持ちばかりが先行して今一つ何が言いたいのか分からない。
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