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それは、中学二年生の年末のこと。あと数日でクリスマスがやってくる…そんな日だった。
「俺、『Soma's Crow(ソーマズ・クロウ)』に入るわ。ヘッドの藍並(あいなみ)さんから打診があったし、断る理由も無いしな」
いつものように私が彼と話をしている中で、彼は私にこんなことを言ってきた。
Soma's Crow
市外の高校で勢力を二分し、『近隣最強』って噂があるチームの名前で、私もイトコからそれを聞いてたから知らない訳じゃない。
そのヘッド・藍並翔一(しょういち)は高二でありながらも、上級生を抑えてその座に就いた剛勇の持ち主だった。そんな人物から直接打診があったとなれば、彼がそうしたくなるのも無理はないわね。
私も、入ろうと思った。
イトコからはもう一つのチーム『SOLAR's(ソーラーズ)』に入ることを勧められていて、私もその気があった。あとは、彼をどうやってSOLAR'sに入れるか…?
そのことを考えていた矢先のことだったの。
私がSOLAR'sに入れば、Soma's Crowに入る彼と離れることになる。彼の傍に、いられなくなる…
だから、あまり悩む必要はなかった。イトコの勧めより、彼と一緒にいることの方が大事だったから。
彼がSoma's Crowのアジトに行くのは三日後…私は先回りして、その一日前に彼らの仲間になった。彼をビックリさせたかった…そんなつまらない理由だったわ。
そこからは予定通り、彼はSoma's Crowの下を訪れて仲間入りした。あとは、彼の前にひょっこりと顔を見せて、彼を驚かせるだけ…
「おっ、ミヤ【彼は私のことをそう呼ぶ】じゃねぇか。んだよ、抜け駆けしやがって…まぁ、ミヤがいるならここで過ごす時間も楽しくなりそうだな」
そんな言葉をかけて貰える…私の心は弾んでいた。まぁ、言葉の後半分は私の勝手な想像だけどね。
けど、もしそう言ってくれたら嬉しい、かな…?
やっぱり、私の心は弾まずにはいられなかった。
でも、ここで予想だにしない人物が訪れたことで、事態は私が思う通りにいかなくなりそうになったの。
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