5人が本棚に入れています
本棚に追加
ところが、ね…
話が進んでいくうちに、私は今の状況を呪うより、後悔するより、憤る心を胸に秘めるようになった。
最低よ、貴方達…
他人の不幸を喜ぶだけ喜んで、詰め寄られたら即トンズラなんて…しかも、一人の人間が生死の境にいる状況でなんて…人として最低よ、ホント。
そこから話はヘッドが恥曝しのメンバーに制裁を加えること、ヘッドから朱兎に詫びを入れたこと、それでもなおSoma's Crowを潰す気があるのかと進んでいく。
ここで、一人の男子から声が飛ぶ。
「悪いですが、チームに入る話は無かったことにさせて下さい」
ついさっき、チームに入ったばかりの彼からのものだった。落とし前をつけさせられるかって思ったけど、ヘッドはすんなりと受け入れたわ。
まぁ、ここまでの話を聞いていれば当然と言えば当然なんだけど、彼がチームに入るのを止めた理由はそれだけじゃないような気がするの。
勿論、すぐに幹部の一人が反対しようとしたけど、ヘッドは恥曝しがいたのに気付かなかったこと、Soma's Crowに入って日が浅いこととかを引き合いに出して黙らせた。流石はSoma's Crowのヘッド、思いのほか懐が深いわね。
それはともかく、彼がSoma's Crowに入らないと分かった今、私の採るべき道は決まっている。
「彼が抜けるんなら、私も抜けさせて下さい。
元々、私は彼がここに入ると聞いたから入っただけです。『乱角獣の傍らに神の知恵在り』と言われてた私達ですから、彼のいるところが私の居場所と思っています。
その彼が抜けるなら、私も抜けます。乱角獣と神の知恵で争うなんて、私は嫌ですからね」
私の申し出もすんなり通った。最もらしい理由を並べたけど、そのほとんどは口から出まかせ、バレないかってヒヤヒヤしたけどね。
でも、彼のいるところが私の居場所だっていうことは嘘偽りのない私の想い…そこを否定する人がいたら、私はその場で相手をボコボコにしてやるわ。
そして、彼と私は朱兎とその仲間達の近くに寄った。彼はどう思っていたかは分からないけど、私としては朱兎達を敵に回さなくて済んだことにホッとしていたわ。
挨拶や握手を交わしたあと、彼が朱兎に詳細な理由を尋ねたわ。
最初のコメントを投稿しよう!