本当の両親

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写真家の男が野鳥を撮りに山を探索していた。 山奥の開けた川に出ると、少年が一人で水を飲んでいる。 まだ10歳にも満たない小さな少年だ。 こんな山奥で何を?いや、それより何故こんな小さな子が? 服は汚れているが、上質な物なので裕福な家の子らしい。 「君、こんな所で何をしているの?パパとママは?」 少年はその言葉にボロボロと涙をこぼし 「僕のパパとママは、本当のパパとママじゃあないんだ」 そう言って大声で泣き出してしまう。 お菓子を上げると少し落ち着いた様で、話を聞いてみた。 どうやら本当の両親を探す為にこんな所まで入って来たとの事。 「この山の向こうに、本当のパパとママが居るの?」 「ううん、どこに居るか分からないんだ」 少年は首を振る。 「じゃあ、どうしてこんな山奥にまで来てしまったの?」 「ママが言ってたんだ……」 少年はこぶしを握って涙を我慢し、歯を食いしばって言った。 「僕は、コウノトリに運ばれて来たんだって」
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