ジョギング

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ある女がジョギングコースを走っていた。 後ろから足音が聞こえ、すぐに追い付いて来て横に並んだ。 「こんにちは」 足音の男が笑顔で挨拶するので、女も少し戸惑いながら挨拶を返す。 それに気を良くしたのか、男はそのまま並んで走り話しかけて来た。 「ジョギング、お好きなんですか?」 「はい。毎朝走っています」 「そうですか。実は私、走るのが大っ嫌いでしてね」 「はい?それでは何故走っているのですか?」 「さっきまで逆回りで散歩をしていたのですが、向かいから女性が  ちょうど貴方と同じくらいの年齢かな?まあ、走って来ましてね  『こんにちは』と挨拶をしたんです。そうしたら嫌そうな顔して  プイッと無視して去って行ったんですよ。酷いと思いませんか?」 「酷いですね。……まさか、その女性を追いかけているのですか?」 「いいえ、逆です。殺して来たので逃げている所です」
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