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「あ、でさ、これ」
ポケットから取り出したのはピアスの穴を開けるピアッサー。
千鶴の耳には何個もピアスの穴が空いていて、日によって違うピアスをつけている。それがまた千鶴のちょっとチャラい感じに似合ってる。
「開けてほしいんだけど」
「俺が?」
「うん、手伝って。あ、皐月さんも開ける?」
「俺は痛いのは嫌いだ」
学生の頃、周りで開けてる奴は沢山いたけど、痛そうで俺には無理だった。
だから、千鶴みたいに沢山開いているのを見ただけで痛く感じてしまう。
「一瞬だよ、こんなの。オレが開けてあげる。それで、お揃いのピアスしようよ」
「なんでお揃いなんだよ」
「恋人っぽいから?」
ピアッサー片手にニコリと笑う千鶴に俺は何も言えなかった。
付き合うと言って、それらしい事を今までしてこなかったから初めて千鶴からそんな風に言われて拒否出来なかった。
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