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さっき着ていた服は袋に入れて捨てた。 あんな精液まみれの服なんかもう着ない方がいい。 代わりに俺のTシャツとスウェットを着せて、客間に布団を敷いて寝かせた。 うちの猫達が何事かと覗きにやって来て、千鶴だと認識すると一緒に布団の中に入っていった。 襖を閉めて河内と居間に戻ると、さっき淹れたコーヒーはすっかり冷めていた。 「コーヒー飲むか?」 「いえ、直ぐに帰りますんで」 「まあまあ、いいじゃないか。アレの説明もしてもらいたいし」 「……では、少しだけ」 びしょ濡れになった服を素早く着替えてから、改めて熱いコーヒーを淹れ直した。 居間のテーブルの前で姿勢よく正座する河内にコーヒーと砂糖とミルクを出して、俺も対面に座る。 相変わらず能面の様な顔の河内からは何を考えてるのか読み取れなかった。
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