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「はい、開いたよ」 使い終わったピアッサーをポイとゴミ箱に捨てると、俺の耳をじっと眺めてくる。 ジンジンと痛む耳たぶに触れるとさっきまでなかったピアスの感触。 「ピアスの穴を開けると運命が変わるって言うけど、オレはあんまり変わらなかったなぁ」 俺の耳についたピアスに手を伸ばしてきた千鶴が、ポツリと話す。 痛いからあまり触って欲しくなかったけれど、千鶴にはもう少し触れていて欲しかった。 「皐月さんの運命は変わるかな?」 「変わるなら……」 耳に触れている千鶴の手に自分の手を重ねた。さっきまで氷を触っていたからまだ少し冷たい指先。 「お前も巻き込んでやるよ」 「なにそれ、殺し文句だね」 苦笑いする千鶴の顔を至近距離まで縮めて鼻と鼻を合わせる。楽しそうに笑う千鶴の頬に自分の頬を擦り寄せてまるで動物の親子みたいにじゃれあった。
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