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………はずなのに。
「っ…ふふっ…」
「ちょ……おい…おい」
「だ……って」
「だって…って、何だよ」
「目がマジなんだもん」
「悪いかよ!っつーか、目は閉じろよ!」
「見てたいの!」
「物好きだな!」
「お兄ちゃんって、そういう顔でキスするんだ…って思ったら…おかしくて…」
「おまっ……ふざけんなよ!いいか、目、閉じないと……」
「閉じない…と?」
「このまま続きをする」
「そ、それはっ……!」
「ははっ…ま、意識せず…今まで通り…っていうか、だな…その…」
「うん」
「でも…もう一回だけ…」
今度はちゃんと目を伏せた真里に、軽く触れるキスをして、俺は言いつけ通りの買い物へ。
玄関で傘を手に取ると、キッチンから真里の大きな声が飛んできた。
「お兄ちゃんっ!ビールも無くなるからついでに!あ、あとおまかせでおつまみも!」
「はいはい!」
「あーそれと!」
「まだあるのかよ!」
「私、お兄ちゃんの奥さんになるってことでいいんだよねー?」
「はいはい…って、えぇ!? 」
今までと同じような、
でも少しだけ違う日々が待っている。
例えば、
真里がそのうち俺を貴文さんと呼ぶことに慣れたりとか、
寝室が1つで済む…とか、
手を繋いで歩いたりとか、
夏には旅行に行ったりとか………。
そんな、未来の俺たちの想い出は、
きっと楽しいものに決まってる。
真里?
これからも作っていこうな、二人でさ。
*完*
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