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「何だよ何だよ!」
「どうしたどうしたー?」
「だーっ!もうっ!わっかんねーよ!」
思いの丈を吐き出せたらどんなにか楽だろう。
真里……いや、自分の妹への特別なこの感情を。
大学からの付き合いで仕事仲間でもあるこいつにだけでも…といつも思いながらも口にしないで今日まで来たというのに、あの…ニノミヤという男に煽られた形で告白してしまうのもなんとも情け無くて忌々しい気持ちもする。
気を効かせて出してくれていたビールの泡はもう消えてしまっていた。
「サク……聞いてくれる?」
笑わず、茶化すこともなく、静かに話を聞いてくれたから俺は思い切り泣いた。
しばらくして今度はサクが泣いたから、俺は思い切り笑った。
「ごめん。話したらスッキリしたわ。ありがと、聞いてくれて」
「ホントに?」
「え?」
「ホントにスッキリしたの?」
「……」
「だってさ?そいつの言う通りじゃん。真里ちゃん…血の繋がりのないんだろ?何が悪ぃのかわかんない」
「サク……」
「少なくともお前が好きになったこと、変でも何でもねぇよ」
あっけらかんとそう言うと、サクは今夜は飲もうぜぇと冷蔵庫からよく冷えたビールを運んで来たから、俺はまた泣いた。
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