想い出の未来へ

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ベロンベロン…まではいかないものの、かなりのアルコールのおかげでちゃんと家に帰れた。 そんな俺に、ニノミヤはまた勝ち誇った顔を見せ、真里は苦笑いすると布団を敷いて“新年だからって飲み過ぎ!”といつもよりキツく俺を叱った。 やっぱり、サクに話してしまってからはだいぶ精神的には安定したようだった。 それからの俺は、真里のことも真里に対しての感情もコントロール出来ていた。 いや……今までだってコントロールしてきたし隠してきたわけだから、今まで通りの変わらない生活を嫁に出すまで送っていけるんだと思っていた。 ところが、春を前に真里はニノミヤの所へ引っ越してしまった。 突然だった。 慌ただしく引っ越して行ったせいで、ゆっくりと考える時間を与えてもらえなかったから、逆に諦めがついたというかなんというか。 いなくても変わらない生活を、一人には広すぎる一戸建てで送っていた。 俺が無事かどうかくらい連絡をくれるかと期待したのも最初のうちで、 ニノミヤの言う通り、結婚してしまうとやはり“他人”になってしまうものなんだと実感した。 桜のニュースがあちこちで聞こえるようになった頃、家を出て行ってから初めて妹から電話が来た。 『お花見……行くでしょ?』と。 “あの桜を見ないと春になった気がしない”と父親が言い、 “春になったから桜が咲くんですよ”と母親は隣で笑い、 “玉子焼きは絶対入れてよね”と真里が甘え、 “運転は俺がするから”と言ったあの春を最後に、あの桜を見に行っていなかったのに。 さも毎年行っていたかのような口ぶりでそう言ったから、俺は断る理由を探すより先に、 「土曜でいいか?…少し散ってるかもしれないけど。車出すよ」 そう答えていた。
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