想い出の未来へ

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夕飯後、忙しそうに動き回る妹を横目で見ながら、ダイニングテーブルからリビングへと移った俺はソファーに深く腰かけた。 「お兄ちゃん!お風呂入っちゃってよ!洗濯もお風呂掃除も今夜中にやっておきたいの!って、聞いてる!?」 妹の真里が落ち着かない理由はわかってるから、なおさら深くソファーに沈んでいたいんだ。 こっちだってそれなりに落ち着かないし、髭も剃りたいし、寝不足で浮腫んでいたくないし、お前に恥ずかしい思いはさせたくないんだ。 「明日休みじゃん、明日やんなよ」 わかってるんだけど、さ? 忙しそうにしていても、俺を睨んでも、その顔の奥に嬉しさみたいなモノが見えるから、ちょっとだけイジケたくなるんだよ。 「私を困らせたいんだ」 「は?」 「妹が彼氏を連れて来るってことに対する抗議のつもりなんだ」 「何だよそれ」 「散らかった部屋を見て“片付けとか出来ない子なんだ”とか幻滅させようって魂胆なんだ」 「そんなことでお前をいい女かダメな女かを決めるような男ならそんなやつは…」 「別れろ?あ、別れさせるつもりなんだ…妹を失恋させてほくそ笑む鬼なんだ、お兄ちゃんは!」 「おいおい…そこまで言ってねぇって」 「自分に彼女いないからって私に八つ当たりして」 真里は、“お母さんお父さん聞いてよ!お兄ちゃんたらさー!”と、大きな声でリビングの隣の和室の襖を開け、 葉書サイズの二人にチクり始めた。
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