想い出の未来へ

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「明日何時に来るんだっけ?……えぇっと…イチノミヤさんは」 「ニノミヤ!11時!」 「そうだった。あ、ビールこれが最後だったけど、明日飲むんだろ?サンノミヤさんも」 「ニノミヤ!……お兄ちゃん?次は無いよ?」 「おっかねー」 「車で来るから飲ませないよ。あぁ…でも、彼がいいって言うなら翌日も休みだし泊まっていってもらうけど…お兄ちゃんはそれでいいの?」 「うわー!ダメダメー!」 「あはは」 『意地悪したら自分に返ってくるのよ…』 母親の声が聞こえた気がした。 真里が高校2年の、梅雨の合間のよく晴れた日曜だった。 両親は、父親の地元へ十七回忌の法事のために朝から車で出かけていて、翌週に修学旅行を控えた真里は友達と買い物へ行っていた。 俺は、家に誰もいなくなるし…と、当時付き合っていた彼女を部屋に呼んでいて、あれこれと良からぬコトに期待してソワソワしていた。 のに…。 夕方に鳴った1本の電話で、いいムードだった彼女を追い返し、カラオケの途中だったという真里を呼び戻し、病院の人に言われた持ち物をバッグに詰めて、二度目の千葉へ二人で電車に飛び乗った。 居眠り運転のトラックが信号を無視して、両親の車に衝突したのが原因だった。 簡素な葬式にするつもりだったのに、やはり父親の地元でしかも亡くなった原因までもが同じだったからか、お焼香にと来る人が思いの外多くて、俺は葬式の間ずっと気が気じゃなかった。 いつ真里の耳に入ってもおかしくない…そんな状況だったけど、真里は住職の家の一室を借りて、ほとんど部屋から出てこなかった。
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