奴等が来るまで

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僕が住むのは山の麓の小さな村だ。 決して裕福ではないが、日々の暮らしに困るほどではない。 毎日が穏やかで、のんびりと過ごせるようなところである。 …たった一つ、あることを除いたなら。 「あっち行けー!」 「お前は災いを呼ぶんだろ~?」 「俺達がやっつけてやる!」 村の子供達が嘲笑と共にそんな台詞を吐いている。 子供達がぐるりと作る輪の中に一人、彼女は居た。 「ごめんなさい!ごめんなさい!」 彼女の名は「カコ」だ。 誰が付けたのかは解らない。 彼女は捨てられていたのだ。 その理由はきっと、その外見に有るのだろう。 頭を抱えるように蹲り(うずくまり)謝る彼女の髪の色は真っ白。 それも、村に住む老人達のそれとは違い、妙に艶が有る。 時折陽の光に照らされ、やけに不気味な光沢を帯びていた。
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