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瞳の色もまた、異質だった。
見詰められると吸い込まれそうな錯覚を覚える、深い紫色をしていた。
そのせいで多くの村人達からは、
「きっと恐ろしい魔物の子に違いない。」
などと言われ、忌み嫌われてきた。
そうではない村人達も、最低限の世話はするが、距離を縮めようとはせずに避けていた。
だからこそ。
「止めないかお前達!」
僕だけでも味方にならなくちゃ。
「うわぁまた来たぞ!」
「ヨルドが来た!」
「逃げろ~!!」
自分達よりも一回り大きい青年の怒鳴り声が響くや否や、子供達は蜘蛛の子を散らすように逃げ出していった。
ヨルド、と呼ばれた少年は鼻息を荒くしながらのしのしと歩いていく。
そして、未だに蹲るカコの傍まで行くと、漸く表情を穏やかなものに変えてゆっくりと片膝を地に付けた。
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