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「カコ、もう大丈夫だよ。」
「…ヨル兄?」
よほど怯えていたのか、カコは声を掛けられて漸くヨルドに気付いて顔を上げる。
紫色の瞳が溢れかけた涙でキラキラと輝いて見えた。
「あいつらも懲りないよな。何度言っても聞きやしない。」
「カコ、怖かった…。」
「あぁ、ごめんな。僕がもう少し早く来れたら良かったんだけど。」
僅かに身体を震わせるカコを、ヨルドは優しく抱き寄せる。
「でも、いつかきっと皆も解ってくれる筈だ。だから。」
「うん。カコ、我慢する。ヨルド、私の仲間で家族。皆も、ヨルドの仲間で家族。だから、皆も私の仲間で家族。」
そして、ヨルドが穏やかに言おうとした言葉を、カコが先に口にした。
今までに幾度となく繰り返したやり取りなのだ。
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