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第22話 人を形つくるもの、残りし思い
━━日常は斯くもありがたいものだ━━
しかしそんな平和なままでは、つまらない。彼らが動かなくとも、誰かが問題を持ち込む。それだけ彼らは、目立っていた。黙っていれば美麗パーティー。前回の功績も加われば、尚。今はまた、別々でいる。
「あなたたち、暇ならちょっと頼まれてくれない?」
お母さんがやってきた。多分、誰もが想定出来る人物だ。
「……人数は?」
溜め息混じりに確認。
「今回は無制限、といいたいけど……。多すぎてもねぇ」
凝(しこ)りの感じる言い方だ。
「どんなクエスト?」
恐る恐るリーゼロッテが確認。
「総称『人形の館』の人形鎮圧よ」
ローゼリアがピクリと、分かりやすいほどに嫌そうな顔をした。……人形のあるところには、あの娘がいる。
「……のんびりはさせてくれないのね」
「難しいクエストは、大半が報酬に目が眩んで自滅してしまうの。だから、あなたたちくらい生存率が高くないと」
明らかに難しいクエストを持ってきている。
「……それは終始、ローゼが機嫌悪くなりそうなんだけど」
視線をさ迷わせる。あれだけ怒りを露にしたローゼを見たものは、避けて通りたいと思うだろう。しかし、あんな怒り方なら可愛いとも思えるから、複雑だ。
「色々聞いたけど、こっちも行方不明が絶えないのよ!お願い!」
拝むように二人の前で頭を下げる。お母さんに頭を下げられたなら、断るわけにはいかない。リーゼロッテはローゼリアを見ていた。いやでも、空気でわかる。
「……仕方ないわね。説明してちょうだい」
額に手を当て、降参を顕す。
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