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「……どちらも間違いなく依頼場所なら、人形の種類と捉えるべきじゃないか?」
徐(おもむろ)に話し出す帽子屋。
「あっちの洋館には、フランス人形やらの西洋人形があると仮定する話な。だったら………、こっちの東国家屋には東国人形があると仮定出来ることに……ならないか?」
皆に見られていることに、ちょっと躊躇した。
「……水を指すようですみません。前回から不思議に思っていたんですが……」
口ごもるリーゼロッテ。
「あなた、なんで東国関係になると詳しいわよね。前回は東国の文字が読めた。今回は、あの建物を東国家屋と断定した」
別に推理しているわけではない。言いながら何となく察したが、本人が言わないことには勝手な憶測に過ぎない。
「ああ、そんなことか。おまえらに俺の身の上を自ら話す意味がないから、してなかっただけだ。何せ、俺は東国出身だからな。知っていて当然だろう」
一々とげのある言い方をするナルシスト。
「あの死亡通知書は、向こうの文献で似た形式のものを見たことがあったんだよ。こっちは近代化が進んでも、こういう家屋は国内各所に点在している。……これでいいか?」
丁寧なんだか、やる気がないんだか。いや、両方だ。仕事には、金になることには前向きな汚いナルシストに間違いない。
「じゃあ、あなたは東国家屋がいいわね」
中の構造は、民家には代わりないからそれぞれだろうが、作りなどは知っている人間がいた方がいい。
「俺は!美女美女といく!」
協調性のない、節操のない変態がラプとルクレにすすすと歩み寄る。
「……バカを一人、盾役に洋館いくから、あなたたちはそちらをお願い」
ルクレ、完全に相手にするつもりはないらしい。
「……三人で大丈夫ですか?」
「そっちも四人じゃない♪」
確かに割るなら妥当だ。
「……私たちも人間ではないの。安心して」
女性陣、誰も純粋な人間がいない。
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