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「へえ?俺はギール。まさか本当にソックリなんだ。白雪姫、よろしくね」
爽やかに笑いながら、ローゼリアの手を取る。
「……何か知っているの?」
睨み付けるように、顔の位置を凝視した。
「やっぱり。わかっちゃうんだね。……探したよ、俺の妹ちゃん」
固まる一同。ローゼリアの兄を名乗るギールに、ラプンツェルとルクレツィアがフォークを取り落とす。
━━カシャン、カランカラン……
「「「「「「妹ぉぉぉぉ?!!!」」」」」」
リピー………しなくていいです。
まさかのことに、客までこちらの成り行きを見守っている。街のツイン救世主の話となれば、気にならないわけがない。
「……どういうこと?」
「父の愛人だった死喰腐鬼(グール)女性に、女の子が生まれた話だけは聞いていたからね。……盲目だと聞いたときに確信した。代償が、瞳なんだと」
優しく、ただ優しくローゼリアを見つめる。
「へえ?辻褄は合わなくはないわね。本当ならあたし、その女に棄てられたのね」
嘲笑うかのように見上げる。無言で頭を撫でられた。……一滴、2度目の涙が溢れる。
「……だから、申し上げましたでしょ?あなたさまは純粋な死喰腐鬼(グール)ではないと」
怪しく微笑むカノン改め、赤い靴のジェシカ。初めて出会ったときの口調そのままに……。
━━物語はここで一旦、幕が引かれる
◇◆◇◆◇◆◇
彼女たちの童話は始まったばかり。
彼女たちの歯車はまだ、運命の歯車に程遠い。
触れあうとき、悲劇は幕を開ける。
第二部までお待ちくださいますよう。
幕閉じの間も、彼女たちが止まることはない。
あなた方が覚えている限り………。
◇◆◇◆◇◆◇
第一部終幕
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