第29話 終わらない童話を

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「へえ?俺はギール。まさか本当にソックリなんだ。白雪姫、よろしくね」 爽やかに笑いながら、ローゼリアの手を取る。 「……何か知っているの?」 睨み付けるように、顔の位置を凝視した。 「やっぱり。わかっちゃうんだね。……探したよ、俺の妹ちゃん」 固まる一同。ローゼリアの兄を名乗るギールに、ラプンツェルとルクレツィアがフォークを取り落とす。 ━━カシャン、カランカラン…… 「「「「「「妹ぉぉぉぉ?!!!」」」」」」 リピー………しなくていいです。 まさかのことに、客までこちらの成り行きを見守っている。街のツイン救世主の話となれば、気にならないわけがない。 「……どういうこと?」 「父の愛人だった死喰腐鬼(グール)女性に、女の子が生まれた話だけは聞いていたからね。……盲目だと聞いたときに確信した。代償が、瞳なんだと」 優しく、ただ優しくローゼリアを見つめる。 「へえ?辻褄は合わなくはないわね。本当ならあたし、その女に棄てられたのね」 嘲笑うかのように見上げる。無言で頭を撫でられた。……一滴、2度目の涙が溢れる。 「……だから、申し上げましたでしょ?あなたさまは純粋な死喰腐鬼(グール)ではないと」 怪しく微笑むカノン改め、赤い靴のジェシカ。初めて出会ったときの口調そのままに……。 ━━物語はここで一旦、幕が引かれる ◇◆◇◆◇◆◇ 彼女たちの童話は始まったばかり。 彼女たちの歯車はまだ、運命の歯車に程遠い。 触れあうとき、悲劇は幕を開ける。 第二部までお待ちくださいますよう。 幕閉じの間も、彼女たちが止まることはない。 あなた方が覚えている限り………。 ◇◆◇◆◇◆◇ 第一部終幕
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