第28話 偶然を装い、それはやってくる

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「おーい!白雪姫ー!」 喧しい声が人混みを縫いながらやってくる。傍目には、可愛い女の子三人に見える光景に、周りはニコニコしていた。 「うるさいわね。あたしとあたしのリーゼのでぇとを邪魔しないでちょうだい」 鋭くにらむ。 「お、俺だって赤ずきんとでぇとした……いという希望があるますです……」 踏ん張ったが気迫に勝てず、悄々と。 「ああ!ちげぇんだよ!白雪姫!今、白雪姫にそっくりなやついたんだよ!」 ローゼリアはリーゼロッテと顔を見合わせる。 「……気になるね」 頷くと、アリスに向き直る。 「アリス、特徴覚えているわね?」 「え?まぁな」 きょとんとするアリス。 「追跡して、居城を突き止めてらっしゃい!」 ピシャリといい放つ。 「な、なんで俺が……」 「あら、見えないあたしに行けと?可愛いリーゼに行けと?」 「いやいや!そもそもなんで追いかけるんだよ?!」 どうして、なんで、なんかわからない。ただ気になる。 「気になることがあるだけよ!あなたの足を信じてあげてるんだから、光栄に思いなさい?」 威圧オーラで押し切るローゼリア。 「この美しい顔が、世界に2つだなんて……気にならないわけないでしょう?」 相変わらずだが、アリスもいい加減、なれてきてはいる。 「確かに、追いつけるのは俺くらいだろうな。待ってろ!いっちょ、行ってくる!」 くるりと方向転換をして、駆け出す。 「深追いはするんじゃないわよ?!」 アリスはちょっと笑った。出会った当時ならこんなこと、いいもしないで貶めていたのに。元来、優しい女の子なんだなと思う。赤ずきんだけじゃない、彼が守るのはローゼリアも同じ。盾だってなんだっていい。アリスにとって、目標の、夢の女の子たちなんだから。
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