9人が本棚に入れています
本棚に追加
「おーい!白雪姫ー!」
喧しい声が人混みを縫いながらやってくる。傍目には、可愛い女の子三人に見える光景に、周りはニコニコしていた。
「うるさいわね。あたしとあたしのリーゼのでぇとを邪魔しないでちょうだい」
鋭くにらむ。
「お、俺だって赤ずきんとでぇとした……いという希望があるますです……」
踏ん張ったが気迫に勝てず、悄々と。
「ああ!ちげぇんだよ!白雪姫!今、白雪姫にそっくりなやついたんだよ!」
ローゼリアはリーゼロッテと顔を見合わせる。
「……気になるね」
頷くと、アリスに向き直る。
「アリス、特徴覚えているわね?」
「え?まぁな」
きょとんとするアリス。
「追跡して、居城を突き止めてらっしゃい!」
ピシャリといい放つ。
「な、なんで俺が……」
「あら、見えないあたしに行けと?可愛いリーゼに行けと?」
「いやいや!そもそもなんで追いかけるんだよ?!」
どうして、なんで、なんかわからない。ただ気になる。
「気になることがあるだけよ!あなたの足を信じてあげてるんだから、光栄に思いなさい?」
威圧オーラで押し切るローゼリア。
「この美しい顔が、世界に2つだなんて……気にならないわけないでしょう?」
相変わらずだが、アリスもいい加減、なれてきてはいる。
「確かに、追いつけるのは俺くらいだろうな。待ってろ!いっちょ、行ってくる!」
くるりと方向転換をして、駆け出す。
「深追いはするんじゃないわよ?!」
アリスはちょっと笑った。出会った当時ならこんなこと、いいもしないで貶めていたのに。元来、優しい女の子なんだなと思う。赤ずきんだけじゃない、彼が守るのはローゼリアも同じ。盾だってなんだっていい。アリスにとって、目標の、夢の女の子たちなんだから。
最初のコメントを投稿しよう!