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「あれ?こっちに……」
流石アリス。人混みも何のその。小柄の俊足で、あっという間に視界圏内にターゲットをロックオン。
だが、何回目かの曲がり角で見失ってしまう。速度や距離を考えて見ても、早々見失うはずがない。
「……俺に何か用かな?可愛い女装少年くん?」
ばっと振り返るアリス。あり得ない、あり得るわけがない。常人ならば………。
「あんた……何者だよ?」
脂汗を滴らせる。対する相手は涼しい顔。白雪姫に瓜二つの。
「質問に質問で返さないでくれよ?君が俺に対して下手な尾行、してたんだから」
雑だったのは認めざる得ない。この人混みなら、目立たないとたかをくくっていた。
「確かに雑だったのは認める。でも、敵意があったわけじゃない。素直じゃない仲間からの頼みなんだ。はっきりしないから、たしかめたかったんだろうな」
試すような笑顔で首を傾げている。
「そいつは、あんたにそっくりな女の子だからな」
その言葉に見知った笑い顔になる。
「……へぇ?この美しい顔がもう1つあるの?それは興味深いな。会わせてよ、俺とそっくりな美女に」
ん?美女?これは訂正しよう。
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