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第29話 終わらない童話を
━━運命の歯車は不協和音を奏でながら、回り続ける━━
ギルドに帰還したローゼリアたちを待っていたのは……。
「あたくしを待たせるだなんて、流石あたくしのライバルですわね、白雪姫さま!おーほほほほほほほ……!むぐっ」
ローゼリアの帰還に気分よくしながら、横から口に何か突っ込まれる。
「むぐっむぐっむぐっ!はぁ!やめてくださいまし!しゃべれませんわ!」
隣ではニコニコしながら、ラプンツェルがケーキを一口分、スタンバっている。犯人は彼女のようだ。ローゼリア帰還前に、お姉さんずに捕まったようだ。世話好きのお姉さんに捕まったら、諦めるしかない。
「いい様ね、あたしに何の用かしら?……あら?」
赤い服、赤いリボン、赤い靴。ローゼリアに色は見えない。けれど、音が違う。衣擦れや靴の音が軽い。
「あたくし、あなたさま方をサポートして差し上げようと参りましたの。感謝してくださいまし♪……なんですの?」
「口が減らないわねぇ。ええ、何だか衣装が軽くない?」
「あ!ゴシックドレスがオシャレなワンピースになってる!リボンの赤い靴も可愛い!」
ブラウスに赤い薄手のワンピース。ワンピースと同じ生地の大きなリボン。同じカラーの巻きリボンのローヒール。赤の似合うカノンにはこちらもピッタリだ。
「……御愁傷様」
意図を察したローゼリア。ぷるぷる肩を震わせて笑っている。
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