第29話 終わらない童話を

1/5
前へ
/14ページ
次へ

第29話 終わらない童話を

━━運命の歯車は不協和音を奏でながら、回り続ける━━ ギルドに帰還したローゼリアたちを待っていたのは……。 「あたくしを待たせるだなんて、流石あたくしのライバルですわね、白雪姫さま!おーほほほほほほほ……!むぐっ」 ローゼリアの帰還に気分よくしながら、横から口に何か突っ込まれる。 「むぐっむぐっむぐっ!はぁ!やめてくださいまし!しゃべれませんわ!」 隣ではニコニコしながら、ラプンツェルがケーキを一口分、スタンバっている。犯人は彼女のようだ。ローゼリア帰還前に、お姉さんずに捕まったようだ。世話好きのお姉さんに捕まったら、諦めるしかない。 「いい様ね、あたしに何の用かしら?……あら?」 赤い服、赤いリボン、赤い靴。ローゼリアに色は見えない。けれど、音が違う。衣擦れや靴の音が軽い。 「あたくし、あなたさま方をサポートして差し上げようと参りましたの。感謝してくださいまし♪……なんですの?」 「口が減らないわねぇ。ええ、何だか衣装が軽くない?」 「あ!ゴシックドレスがオシャレなワンピースになってる!リボンの赤い靴も可愛い!」 ブラウスに赤い薄手のワンピース。ワンピースと同じ生地の大きなリボン。同じカラーの巻きリボンのローヒール。赤の似合うカノンにはこちらもピッタリだ。 「……御愁傷様」 意図を察したローゼリア。ぷるぷる肩を震わせて笑っている。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加