before.1

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心の中で可愛くないことを考えていると、予鈴が鳴って彼の周りにいたクラスメイトは散っていった。 思わずふぅ、とため息をつくと彼は私の方をもう一度振り返り言った。 「ごめんね、華宮さん。あいつら、悪気はないんだ」 「...わかってるから、大丈夫」 悪気がある人は、あんな純粋に質問できたりしない。 もっと言い方にトゲがあったりするから。 返した言葉に驚くと、にっこりと笑って彼は言った。 「...華宮さんって、意外と人のこと見てるんだね」 ...そんな、嬉しそうな顔しないで。 誰にだって見せる顔のくせに。 勘違いしちゃうから。 「...別に、そんなことないよ」 あーあ、また可愛くない。 ほんの少しでもいい印象持ってもらおうとか思えないのかな、私。 ...自分が嫌になる。
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