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紗羽の素朴な疑問に少し考え込むと、頭の中に浮かんだのは指輪の存在。
「…………たぶん、指輪じゃないかな」
「指輪?」
私は壱吾が帰ったあとにテーブルの下で見つけた指輪のこと、その指輪は6年前、私の誕生日にプレゼントされたものだったことを説明すると、紗羽の眉間にどんどん皺が刻まれていく。
「でも、わかんないんだよね。……なんで今、この指輪をーー」
「そんなの理由はひとつでしょ」
紗羽がそう言えば、私は首を横に傾ける。
壱吾の意図が私に全くといっていいほど伝わってないことに呆れながらも、紗羽はわかりやすく言葉にしてくれる。
「その指輪に、なんか意味があるからじゃないの?」
「え……?」
紗羽の言うことがすぐに理解出来ずに、何度も瞬きを繰り返す。
そんな私に紗羽は優しく話を続けた。
「6年前に渡された時のこと、思い出してみなよ」
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