それぞれの想いが向かう先

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ーーーそれから一ヶ月後。 季節は短い秋を経て、少しずつ冬へと進み始める。 だんだん肌寒く感じるようになってきたある日の夜、橘さんと有紗の結婚を祝う食事会が行われた。 「結婚、おめでとう!」 「ありがとう!」 幸せオーラ全開の二人は、見ているこっちが恥ずかしくなるくらいに寄り添い、笑い合っている。 私の隣で、そんな二人の姿を羨ましそうに眺めながら料理に手を伸ばす瑞妃は、さっきから何度も溜息を吐いていた。 「あ~あ、ほんっと幸せそうな顔しちゃって。もう羨ましい~!!」 「ふふ。そうだね」 グラスを傾けながらそう相槌を返せば、「あ、」と声を発した瑞妃の視線が私の後ろへ向く。 私はそれを辿るようにゆっくりと振り返ると、シャンパングラスを片手に桐生さんが立っていた。
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