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「二人とも、呑んでる?」
瑞妃とは反対側の私の隣に腰を下ろすと、ニッコリと微笑む。
「あ、っと、……の、呑んでますよ!」
瑞妃のわかりやすい態度に、思わずおでこに手を当てたくなる。
桐生さんは「本当に瑞妃ちゃんは正直だね」と、ハハ、と声を上げて笑う。
「す、すみません……」
「いいよ。俺こそ、気遣わせて悪いね」
瑞妃から私に視線を移すと「元気だった?」と言って、グラスを差し出す。
私は、差し出されたグラスに自分のグラスをカチン、と合わせると「はい」と頷いた。
「ああいう幸せな姿を見ると、女の子は結婚したくなるんじゃない?」
「はいっ!すっっごくしたいです!!………相手がいれば、の話ですけど」
「ハハ、瑞妃ちゃんなら、すぐにできるんじゃない?」
盛り上がる二人の間に挟まれるという、何とも居心地の悪い空間でグラスを傾けていると、部屋のドアが開き、少し息を切らせた壱吾が姿を見せた。
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