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「やば!もうこんな時間っ」
私は、ガタと勢いよく立ち上がると、急いで机の上を片付け始める。
「ん?あ、羽村くん来るんだ?」
私と同じように時計を見上げてから、津坂さんは楽しそうに笑う。
「はいっ、最近忙しくてすれ違ってばっかで……会うの久し振りなんです」
「そっか。よかったね。羽村くんにもよろしく言っといてよ」
私は大きく頷くと、急いでファイルを元の場所へ戻し、津坂さんと和田さんに挨拶をしてから更衣室へ向かった。
事務所に残された二人がその後、どんな会話をしていたのか私は知らない。
ただ、津坂さんが和田さんに対して優しく牽制をしていたことを知ったのは、ずいぶんあとになってからだった。
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